備前焼は、日本国の六古窯といわれている瀬戸・常滑・丹波・越前・信楽・備前のなかでも、もっとも古い窯です。須恵器から備前焼になり、無釉焼き締めの伝統を守りつづけて、一千年の間、窯の煙は絶えたことはありません。 備前では「古きよき伝統」を守り、昔ながらの登り窯、松割木の燃料を用いて、雅味深い焼き物を作っております。 うわぐすりをかけないで、良質の陶土をじっくり焼き締める、このごく自然な、土と炎の出会い、その融合によって生み出される素朴な、そして、手づくりのぬくもりの感じられる焼きものが備前焼なのです。

緋襷(ヒダスキ)

素地に稲藁を巻いて焼成すると、藁の跡が緋色の筋となって発色します。登り窯では「サヤ」に入れて、割り木の炎を遮断して焼かなければならないので、以前は貴重な焼けのひとつでした。今は、ガス窯・電気窯で、鮮やかな緋襷が作り出せるようになりました。

灰かぶり

登り窯で、焚き口のすぐ下の床で、燠に埋めて焼成します。床に接した下の面には自然の桟切りができ、上の面にはブツブツした半溶け状態の灰が、榎の肌のようにこびりついています。この焼けの無傷でいいものは、ひと窯焚いてほんの数点という珍重品です。

胡麻(ゴマ)

松割り木の灰が、素地に降りかかってできる模様です。窯の内の温度差で灰の溶け具合が異なり「流れ胡麻」「カセ胡麻」「黒胡麻」等数種のものがあります。胡麻の定着には少なくとも一週間以上割り木を焚き続けなければなりません。

桟切(サンギリ)

窯の隅や、器物の陰など、直接に炎や灰の当たらない、煙に包み込まれるような場所でとれる模様です。人工的には、炭を落とし入れ、それを燃焼させることによって、還元状況をつくり出します。
金彩や銀彩・灰色などを呈しています。

ぼた餅

皿や大鉢の底部に、黒灰色、赤褐色、或は金、銀のラスター彩など、円形の抜けがあるものをいう。これは、白地の器物に、耐火度の高い土を煎餅様にしたもの(ぼた)を乗せて焼成する。ぼたが置かれた部分は、灰や炎が遮られて、独特の色調をもった抜けができるのである。

伏せ焼

かぶせ焼とも言われるもので、壷や徳利の口辺に椀形のものをかぶせて焼成する。また、壷、花器などの口に、一輪形の花入を差し込んで焼成することもある。ともに、器物で包み込まれた所が、黒灰色や赤褐色を呈する。まれに、金、銀彩が表れる場合もある。

金、銀彩

一種のラスター彩で、強い還元状況によって生まれる模様である。備前焼で、桟切と呼ばれているもののなかに、部分的に金、銀彩が表れる。また作品全体が、金彩に被われる場合があるが、これは、作品を密に詰め、炎の通りを極力抑えることによって、偶然生まれてくるものである。

メロン肌(かせ胡麻)

備前焼で、松割木の灰が作品に降りかかり、溶けてできる模様が胡麻といわれるものである。窯の中の温度の高低によってそれぞれ、流れ胡麻、かせ胡麻、黒胡麻となるが、1100℃前後の比較的低温で焼成するのが、かせ胡麻である。一般に灰緑色をしており、手に触れる感じがザラザラしている。こうしたかせ胡麻の中で、特に荒い貫入が入ったものをメロン肌(かせ胡麻)と呼んでいる。

この情報は、備州窯からいただいております。